充たされるもの1
都会の高校に通うようになって、もうすぐで1年経つ。
今年度最後のテストも今日で終わり、肩の力が抜けた。
「ねえ、ユミコは化学どうだった?」
「えっ?」
驚いて顔を向けると、隣の席のナオが答えを待っている。
「え~と・・・。2問くらいちょっと自信ないかな」
「あー、やっぱりすごいなあ」
謙遜気味のつもりだったけど、ナオには難しい問題だったらしい。
「受験もまだまだ先だし、そんなに気にすることないよ」
「うーん…。でも、自信なくしちゃうなあ」
帰りの電車を待つ間も、ナオは浮かない顔だった。
「今日も塾?」
ナオは東京の私大に進学するつもりで、1年生のうちからもう塾に通っている。
「うん。テストの反省みたいなことも言わされるって」
「そんなこともあるんだ」
「行きたくないよぉ」
「あはは…」
ふさわしい言葉を思いつかないまま、彼女より3つ先の駅で降りる。
「じゃあ、また」
「うん…」
ナオと別れて乗り換えのために長い階段を上る。
はじめのうちは、この階段だけでずいぶん疲れたけど、今ではすっかり慣れた。
帰ってもやることないしなあ、と思ってぼーっとしていると、いつの間にか改札を出ていた。
テストで昼前に学校が終わったので、いつもは混みあっている駅も人がまばらだ。
苦手な人混みがないし、いい機会だ。街を目的もなく歩いた。
なんとはなしに服屋を眺めて見たが、どれもいまひとつピンと来なかった。
「あれ?」
そうこうしているうちに、街の中心部から離れてしまったらしい。
駅がどちらにあるのかもわからない。
やれやれ、とスマホで駅の方角を調べると、隣の駅のほうが近いくらいのところだ。
ユミコは隣の駅まで行くことにした。
定期の範囲内だから余計なお金はかからないし、来た道を戻るのもつまらない。
しかし、すぐに後悔することになった。
道が入り組んでいてかえって余計に歩くことになったのだ。
うんざりして足を止めると、何かの店が目に入った。
せっかくだからと思い、中をのぞいてみる。
どうも服屋のようだ。しかし、その割に陳列の仕方は雑然として、値札もついていない。
何より、露出の多いギャル風の服ばかりで、見ているだけでも恥ずかしくなってくる。
こんな服を、こんなところまで買いに来る人がいるのか疑問だ。
「あらあら、かわいいお客さん」
後ろからの声に思わず、ビクッとなって振り向くと、短い金髪の女性が目の前に立っていた。
「こういうお店は初めて?気になるのがあったら着てみてね」
「は…、はい」
なれなれしい店員は苦手だけど、この人にはなぜかいやな感じがしない。
紫色のワンピースを着て、ゆったりと構える姿には、惹かれるものがあった。
こんな服誰が着るんだろうと思っていたはずが、いつのまにか店中を回っていた。
一着のスカートが目に留まり、しばらく足が止まる。
「それが気に入ったの?」
「えと…」
それは黒のミニスカートで、艶々とした光沢のサテン生地と大きなリボンで派手さを増していた。
「恥ずかしがらないで、はいてみなさい」
「でも…。えっ…!」
躊躇していると、女性はかかみこんでユミコの制服のスカートを脱がせ始めた。
「何するんですか!」
「いいから、ほら」
代わりにさっきまで見ていたスカートをはかされる。
「どう?」
「あ…」
味わったことのない感覚だ。
ぼんやりと心地いい。
服を着てどうこうというより、どこか全く知らない場所の空気に包まれているようだ。
「よかったみたいね」
「でも、私お金が…」
「お金はいつでもいいわ。あなたが素敵になってくれればね。はい!」
言われるがままに、ユミコはスカートを受け取り、帰路についた。
今年度最後のテストも今日で終わり、肩の力が抜けた。
「ねえ、ユミコは化学どうだった?」
「えっ?」
驚いて顔を向けると、隣の席のナオが答えを待っている。
「え~と・・・。2問くらいちょっと自信ないかな」
「あー、やっぱりすごいなあ」
謙遜気味のつもりだったけど、ナオには難しい問題だったらしい。
「受験もまだまだ先だし、そんなに気にすることないよ」
「うーん…。でも、自信なくしちゃうなあ」
帰りの電車を待つ間も、ナオは浮かない顔だった。
「今日も塾?」
ナオは東京の私大に進学するつもりで、1年生のうちからもう塾に通っている。
「うん。テストの反省みたいなことも言わされるって」
「そんなこともあるんだ」
「行きたくないよぉ」
「あはは…」
ふさわしい言葉を思いつかないまま、彼女より3つ先の駅で降りる。
「じゃあ、また」
「うん…」
ナオと別れて乗り換えのために長い階段を上る。
はじめのうちは、この階段だけでずいぶん疲れたけど、今ではすっかり慣れた。
帰ってもやることないしなあ、と思ってぼーっとしていると、いつの間にか改札を出ていた。
テストで昼前に学校が終わったので、いつもは混みあっている駅も人がまばらだ。
苦手な人混みがないし、いい機会だ。街を目的もなく歩いた。
なんとはなしに服屋を眺めて見たが、どれもいまひとつピンと来なかった。
「あれ?」
そうこうしているうちに、街の中心部から離れてしまったらしい。
駅がどちらにあるのかもわからない。
やれやれ、とスマホで駅の方角を調べると、隣の駅のほうが近いくらいのところだ。
ユミコは隣の駅まで行くことにした。
定期の範囲内だから余計なお金はかからないし、来た道を戻るのもつまらない。
しかし、すぐに後悔することになった。
道が入り組んでいてかえって余計に歩くことになったのだ。
うんざりして足を止めると、何かの店が目に入った。
せっかくだからと思い、中をのぞいてみる。
どうも服屋のようだ。しかし、その割に陳列の仕方は雑然として、値札もついていない。
何より、露出の多いギャル風の服ばかりで、見ているだけでも恥ずかしくなってくる。
こんな服を、こんなところまで買いに来る人がいるのか疑問だ。
「あらあら、かわいいお客さん」
後ろからの声に思わず、ビクッとなって振り向くと、短い金髪の女性が目の前に立っていた。
「こういうお店は初めて?気になるのがあったら着てみてね」
「は…、はい」
なれなれしい店員は苦手だけど、この人にはなぜかいやな感じがしない。
紫色のワンピースを着て、ゆったりと構える姿には、惹かれるものがあった。
こんな服誰が着るんだろうと思っていたはずが、いつのまにか店中を回っていた。
一着のスカートが目に留まり、しばらく足が止まる。
「それが気に入ったの?」
「えと…」
それは黒のミニスカートで、艶々とした光沢のサテン生地と大きなリボンで派手さを増していた。
「恥ずかしがらないで、はいてみなさい」
「でも…。えっ…!」
躊躇していると、女性はかかみこんでユミコの制服のスカートを脱がせ始めた。
「何するんですか!」
「いいから、ほら」
代わりにさっきまで見ていたスカートをはかされる。
「どう?」
「あ…」
味わったことのない感覚だ。
ぼんやりと心地いい。
服を着てどうこうというより、どこか全く知らない場所の空気に包まれているようだ。
「よかったみたいね」
「でも、私お金が…」
「お金はいつでもいいわ。あなたが素敵になってくれればね。はい!」
言われるがままに、ユミコはスカートを受け取り、帰路についた。
おすすめ
ハルサワの「夜が明けない。」の悪堕ちがなかなかツボでした。
http://www.shingeki.jp/shingeki1307.html (『コミック真激』で連載)
改めて確認してから気づきましたが、悪堕ちってはっきり言ってるんですね。
ダークなノリの悪堕ちが好きな人には特にお勧めだと思います。
悪堕ちなんだからどれもダークと言えばダークですが。
http://www.shingeki.jp/shingeki1307.html (『コミック真激』で連載)
改めて確認してから気づきましたが、悪堕ちってはっきり言ってるんですね。
ダークなノリの悪堕ちが好きな人には特にお勧めだと思います。
悪堕ちなんだからどれもダークと言えばダークですが。
生存報告
生きてます。
悪堕ち趣味が萎えたということは全くないのですが(むしろどうして少しも飽きないのか不思議)、自分で小説を書くことは久しくなくなっています。動画編集やブラゲはしてるんですが、悪堕ち関連ではないですね。
ぼちぼち再開したいのですが、しばらくは時間がとれなそうです。催眠音声はよく聞くので受け身視点で何か書きたいけど、難しそう。うーむ。
あと、もうかなり前になってしまいましたが、こみトレ?あたりでアクオチスキー先生にお会いしました。
悪堕ち趣味が萎えたということは全くないのですが(むしろどうして少しも飽きないのか不思議)、自分で小説を書くことは久しくなくなっています。動画編集やブラゲはしてるんですが、悪堕ち関連ではないですね。
ぼちぼち再開したいのですが、しばらくは時間がとれなそうです。催眠音声はよく聞くので受け身視点で何か書きたいけど、難しそう。うーむ。
あと、もうかなり前になってしまいましたが、こみトレ?あたりでアクオチスキー先生にお会いしました。
おおお・・・
『幻想世界マインディア』、素晴らしすぎます・・・
現実の生活を捨てて、やりまくってます・・・
あああ、ニートになってしまう・・・
快楽堕ちや媚びをあえて使わないパターンもあって、これが・・・
希望を捨ててひたすら快楽を貪るというのもいいですね。理性が少しでも残っていたら味わえないものを。
私は催眠音声作品があまり効かないので、「自分が犯されている」という感覚がなかなか味わえず、歯がゆい思いをしていました。
「これぞ・・・!」という気持ちです。
ただ見るだけ、読むだけではなく、自分なりの工夫でどう楽しむかということを改めて考えました。
現実の生活を捨てて、やりまくってます・・・
あああ、ニートになってしまう・・・
快楽堕ちや媚びをあえて使わないパターンもあって、これが・・・
希望を捨ててひたすら快楽を貪るというのもいいですね。理性が少しでも残っていたら味わえないものを。
私は催眠音声作品があまり効かないので、「自分が犯されている」という感覚がなかなか味わえず、歯がゆい思いをしていました。
「これぞ・・・!」という気持ちです。
ただ見るだけ、読むだけではなく、自分なりの工夫でどう楽しむかということを改めて考えました。
復讐と堕落1
「どうしてこんなことになっちゃったのかな」
もう涙も枯れていた。
セレナ。貧しい村の、貧しい家の、容姿にも恵まれない娘。
どこからともなく現れた盗賊たちに襲われ、若い男たちは次々に死んでいった。ただでさえ寂れた村だ。男の数が極端に減ると、彼女のような美しくもなく、気立てがよいわけでもない娘には、嫁の貰い手がいなかった。都まではるばる出て行ったところで、相手にされなかった。都市部の人間たちは農村の人々を異様なまでに見下しているのだ。
「ただ少し口下手なだけ、ただ少し顔がかわいらしくないというだけで相手がいない。私は何も悪くないのに」
世の不条理と言うほどではないにせよ、自分の境遇を恨むのも無理からぬことだ。眠れぬ夜に、薄汚れた天井をぼんやりと、しかし、湧き上がる怒りをにじませて見つめていた。
「こんな世界なら滅茶苦茶になってしまえばいい。私はどうなってもいいから。村の男たちにも、盗賊たちにも、都の人たちにも、王族にも復讐してやりたい。ああ・・・。あああああああああっ!!」
こうして金切り声を上げるセレナはもはや狂人のように扱われるようになっていた。
ひとしきり恨み言をつぶやき、叫び終えると、疲れ果てたセレナはようやく眠りにつく。翌朝目覚めたときも、絶望的な現実は何も変わらないということを少しだけ忘れて。
「ねえ、私と取引しない?」
「え?」
妙な夢だ。目の前にいる女は浅黒い肌に、とがった耳、爪は鋭く、人の姿をした魔物のようだ。誘いかける声には、男を惑わす、艶かしさが滲んでいた。
「あなたに言っているのよ。私はあなたとひとつになりたいの」
「私とひとつに?どういう・・・」
「復讐がしたいんでしょう?私とひとつになればそれができるわ。男を篭絡し、操ることができれば、国を手に入れることだって不可能じゃない」
「そんな・・・。何を言って・・・」
「無理することないのよ。何もせずに、あなただけおとなしく死んでいって、奴らがのうのうと生きていくことが許せる?あなたをキチガイ扱いした奴らを?」
「・・・」
言葉を濁して考え込む。自分のおかれた状況はいまだによくわからないが、セレナには他に選択肢がなかった。怒りに震える声で小さくつぶやく。
「・・・たい」
「何?聞こえないわ」
「復讐したい!男たちを意のままに操って、村も都もめちゃめちゃにしてやりたい!」
憎しみと狂気にゆがんだ声は、もはや一回の村娘のものとは思えなかった。
「フフ。いいわ。それでいい。私を受け入れなさい。それだけですべて上手くいくわ」
「ああ・・・」
満足げにささやく女(?)の声を聞くと、視界がぼやけていった。
目覚めた娘は、それまでとはまったくの別人になっていた。端正な面立ちに、男の理性を一瞬で奪ってしまうような蠱惑的な肢体。豊かに膨らんだ乳房は人の目を引きつけずにはいないだろう。
「フフ。アハハハハ!最高の気分だわ」
高らかに笑う声もまた艶かしい。
「さて、まずは・・・」
娘が最初に向かったのは服屋だった。もちろん、こんな時間には営業は始まっていない。
「誰だ!?こんな朝早くから!」
不機嫌であることを隠そうともせず、店主の男は声を荒げた。
「あらあらそんなにカッカしないでよ」
「何寝ぼけたこと・・・」
言いかけて言葉を呑む。見たこともない女が、あられもない姿で目の前にいる。落ち着けというのは無理な相談だ。
「誰だ・・・あんた・・・?あんたみたいな美人・・・、この村にいるはず・・・」
「そんなことどうでもいいじゃない」
男のズボンに手を伸ばし、ペニスを取り出す。
「何やって・・・」
「フフ」
口に含むと、丹念に舐め回した。
「ああ・・・、こんな・・・。くっ・・・、ダメだ。うっ・・・」
信じられないような快楽に、あっとういう間に達してしまう。
「あーあ。ずいぶん早いのね。まあ、いいわ」
ごくりと精液を飲み込むと、その舌で放心状態の男の顔をなめまわす。
「私の体液を味わってちょうだい」
すぐさま舌を絡ませる。ピチャピチャといやらしい音を立てながら貪られつつも、男はぼんやりと蕩けている。もはや道理も何もあったものではない。
「挿れたい・・・。はやく・・・。はやく・・・!」
唇を離すやいなや、肉欲を抑えられずに、男が口走る。
「アハハ。いいわよ。来て」
壁に手をつく女に後ろから激しく腰を打ち付ける。
「アッ!アッ!いいわ!もっと!もっと激しく!」
「う・・・うああっ・・・こんなマンコ初めてだ・・・。止まらない・・・。あっ・・・!あああああ!」
またもや間髪いれずに絶頂に迫っていく。
「いいわ、来て!中に!濃いのを、思う存分注ぎ込んでえええ!」
「ああああああっ!!」
二人は同時に達した。
「ん・・・?」
と、すぐに男はめまいに襲われる。
「から・・・だが・・・」
「喜びなさい。お前は私の最初の下僕になるのよ」
勝ち誇ったように女が見下ろしている。
「何を言って・・・?ぐ・・・あああああ!」
数秒の後、男がいたところには一匹の大柄なモンスターがいた。トロルのような外見の割に、表情は落ち着いている。
「さあ、忠誠を誓いなさい。私はソフィア。お前の主よ」
「わが主、ソフィア様。私は永遠にソフィア様の手駒としてお仕えします」
ひざまずき、恭しく服従を誓う。
「いい子ね。それじゃあ・・・」
「あなた?どうしたの?変な声が・・・」
言いかけたところで、邪魔が入った。
「ちょうどいいわ。あの女を犯しなさい」
「はい、ソフィア様。仰せのままに」
好都合だとわかれば、迷う必要は無かった。
「何?モンスター!?え?イヤ!いやあああ!」
かつて自分の夫であった存在に容赦なく陵辱され、倒れこんだ女をソフィアが見下ろす。
「あなたもすぐに仲間になれるわよ。さあ」
女の唇を奪う。
「ん・・・んん・・・」
ピチャピチャと妖艶に舌を絡ませるうちに、女は蕩けていく。
「クスッ。受け取りなさい」
ソフィアの手で局部へと何かが埋め込まれる。
「ん・・・あ・・・あああ・・・」
「生まれ変わりなさい」
ぼうっとしていた女の目がカッと見開かれる。淫魔の苗を植えつけられたのだ。
「あっ!ああああああああああああ!!」
甲高い叫び声を上げた後、女もまた、人ならざるものとなった。外見は人間と変わらないが、その力は何百人もの男を破滅に追いやるのに十分だった。赤く染まった瞳が妖しく光る。
「あはあ・・・」
「自分の役目はわかっているわね?」
「はい、ソフィア様。淫らに生まれ変わったこの体で、村の男たちを堕とし尽くします。はあん・・・」
待ちきれずに股間へと手を伸ばし、身をくねらせる。
「男はモンスターに、女は淫魔に。誰ひとり逃しはしないわ。みんな私に服従するのよ。アハハハハハッ!!」
ソフィアの高笑いが響き渡る。
村のすべてがソフィアの手に落ちるまで、それほど時間はかからなかった。
もう涙も枯れていた。
セレナ。貧しい村の、貧しい家の、容姿にも恵まれない娘。
どこからともなく現れた盗賊たちに襲われ、若い男たちは次々に死んでいった。ただでさえ寂れた村だ。男の数が極端に減ると、彼女のような美しくもなく、気立てがよいわけでもない娘には、嫁の貰い手がいなかった。都まではるばる出て行ったところで、相手にされなかった。都市部の人間たちは農村の人々を異様なまでに見下しているのだ。
「ただ少し口下手なだけ、ただ少し顔がかわいらしくないというだけで相手がいない。私は何も悪くないのに」
世の不条理と言うほどではないにせよ、自分の境遇を恨むのも無理からぬことだ。眠れぬ夜に、薄汚れた天井をぼんやりと、しかし、湧き上がる怒りをにじませて見つめていた。
「こんな世界なら滅茶苦茶になってしまえばいい。私はどうなってもいいから。村の男たちにも、盗賊たちにも、都の人たちにも、王族にも復讐してやりたい。ああ・・・。あああああああああっ!!」
こうして金切り声を上げるセレナはもはや狂人のように扱われるようになっていた。
ひとしきり恨み言をつぶやき、叫び終えると、疲れ果てたセレナはようやく眠りにつく。翌朝目覚めたときも、絶望的な現実は何も変わらないということを少しだけ忘れて。
「ねえ、私と取引しない?」
「え?」
妙な夢だ。目の前にいる女は浅黒い肌に、とがった耳、爪は鋭く、人の姿をした魔物のようだ。誘いかける声には、男を惑わす、艶かしさが滲んでいた。
「あなたに言っているのよ。私はあなたとひとつになりたいの」
「私とひとつに?どういう・・・」
「復讐がしたいんでしょう?私とひとつになればそれができるわ。男を篭絡し、操ることができれば、国を手に入れることだって不可能じゃない」
「そんな・・・。何を言って・・・」
「無理することないのよ。何もせずに、あなただけおとなしく死んでいって、奴らがのうのうと生きていくことが許せる?あなたをキチガイ扱いした奴らを?」
「・・・」
言葉を濁して考え込む。自分のおかれた状況はいまだによくわからないが、セレナには他に選択肢がなかった。怒りに震える声で小さくつぶやく。
「・・・たい」
「何?聞こえないわ」
「復讐したい!男たちを意のままに操って、村も都もめちゃめちゃにしてやりたい!」
憎しみと狂気にゆがんだ声は、もはや一回の村娘のものとは思えなかった。
「フフ。いいわ。それでいい。私を受け入れなさい。それだけですべて上手くいくわ」
「ああ・・・」
満足げにささやく女(?)の声を聞くと、視界がぼやけていった。
目覚めた娘は、それまでとはまったくの別人になっていた。端正な面立ちに、男の理性を一瞬で奪ってしまうような蠱惑的な肢体。豊かに膨らんだ乳房は人の目を引きつけずにはいないだろう。
「フフ。アハハハハ!最高の気分だわ」
高らかに笑う声もまた艶かしい。
「さて、まずは・・・」
娘が最初に向かったのは服屋だった。もちろん、こんな時間には営業は始まっていない。
「誰だ!?こんな朝早くから!」
不機嫌であることを隠そうともせず、店主の男は声を荒げた。
「あらあらそんなにカッカしないでよ」
「何寝ぼけたこと・・・」
言いかけて言葉を呑む。見たこともない女が、あられもない姿で目の前にいる。落ち着けというのは無理な相談だ。
「誰だ・・・あんた・・・?あんたみたいな美人・・・、この村にいるはず・・・」
「そんなことどうでもいいじゃない」
男のズボンに手を伸ばし、ペニスを取り出す。
「何やって・・・」
「フフ」
口に含むと、丹念に舐め回した。
「ああ・・・、こんな・・・。くっ・・・、ダメだ。うっ・・・」
信じられないような快楽に、あっとういう間に達してしまう。
「あーあ。ずいぶん早いのね。まあ、いいわ」
ごくりと精液を飲み込むと、その舌で放心状態の男の顔をなめまわす。
「私の体液を味わってちょうだい」
すぐさま舌を絡ませる。ピチャピチャといやらしい音を立てながら貪られつつも、男はぼんやりと蕩けている。もはや道理も何もあったものではない。
「挿れたい・・・。はやく・・・。はやく・・・!」
唇を離すやいなや、肉欲を抑えられずに、男が口走る。
「アハハ。いいわよ。来て」
壁に手をつく女に後ろから激しく腰を打ち付ける。
「アッ!アッ!いいわ!もっと!もっと激しく!」
「う・・・うああっ・・・こんなマンコ初めてだ・・・。止まらない・・・。あっ・・・!あああああ!」
またもや間髪いれずに絶頂に迫っていく。
「いいわ、来て!中に!濃いのを、思う存分注ぎ込んでえええ!」
「ああああああっ!!」
二人は同時に達した。
「ん・・・?」
と、すぐに男はめまいに襲われる。
「から・・・だが・・・」
「喜びなさい。お前は私の最初の下僕になるのよ」
勝ち誇ったように女が見下ろしている。
「何を言って・・・?ぐ・・・あああああ!」
数秒の後、男がいたところには一匹の大柄なモンスターがいた。トロルのような外見の割に、表情は落ち着いている。
「さあ、忠誠を誓いなさい。私はソフィア。お前の主よ」
「わが主、ソフィア様。私は永遠にソフィア様の手駒としてお仕えします」
ひざまずき、恭しく服従を誓う。
「いい子ね。それじゃあ・・・」
「あなた?どうしたの?変な声が・・・」
言いかけたところで、邪魔が入った。
「ちょうどいいわ。あの女を犯しなさい」
「はい、ソフィア様。仰せのままに」
好都合だとわかれば、迷う必要は無かった。
「何?モンスター!?え?イヤ!いやあああ!」
かつて自分の夫であった存在に容赦なく陵辱され、倒れこんだ女をソフィアが見下ろす。
「あなたもすぐに仲間になれるわよ。さあ」
女の唇を奪う。
「ん・・・んん・・・」
ピチャピチャと妖艶に舌を絡ませるうちに、女は蕩けていく。
「クスッ。受け取りなさい」
ソフィアの手で局部へと何かが埋め込まれる。
「ん・・・あ・・・あああ・・・」
「生まれ変わりなさい」
ぼうっとしていた女の目がカッと見開かれる。淫魔の苗を植えつけられたのだ。
「あっ!ああああああああああああ!!」
甲高い叫び声を上げた後、女もまた、人ならざるものとなった。外見は人間と変わらないが、その力は何百人もの男を破滅に追いやるのに十分だった。赤く染まった瞳が妖しく光る。
「あはあ・・・」
「自分の役目はわかっているわね?」
「はい、ソフィア様。淫らに生まれ変わったこの体で、村の男たちを堕とし尽くします。はあん・・・」
待ちきれずに股間へと手を伸ばし、身をくねらせる。
「男はモンスターに、女は淫魔に。誰ひとり逃しはしないわ。みんな私に服従するのよ。アハハハハハッ!!」
ソフィアの高笑いが響き渡る。
村のすべてがソフィアの手に落ちるまで、それほど時間はかからなかった。