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復讐と堕落1

「どうしてこんなことになっちゃったのかな」

もう涙も枯れていた。

セレナ。貧しい村の、貧しい家の、容姿にも恵まれない娘。

どこからともなく現れた盗賊たちに襲われ、若い男たちは次々に死んでいった。ただでさえ寂れた村だ。男の数が極端に減ると、彼女のような美しくもなく、気立てがよいわけでもない娘には、嫁の貰い手がいなかった。都まではるばる出て行ったところで、相手にされなかった。都市部の人間たちは農村の人々を異様なまでに見下しているのだ。



「ただ少し口下手なだけ、ただ少し顔がかわいらしくないというだけで相手がいない。私は何も悪くないのに」

世の不条理と言うほどではないにせよ、自分の境遇を恨むのも無理からぬことだ。眠れぬ夜に、薄汚れた天井をぼんやりと、しかし、湧き上がる怒りをにじませて見つめていた。

「こんな世界なら滅茶苦茶になってしまえばいい。私はどうなってもいいから。村の男たちにも、盗賊たちにも、都の人たちにも、王族にも復讐してやりたい。ああ・・・。あああああああああっ!!」

こうして金切り声を上げるセレナはもはや狂人のように扱われるようになっていた。


ひとしきり恨み言をつぶやき、叫び終えると、疲れ果てたセレナはようやく眠りにつく。翌朝目覚めたときも、絶望的な現実は何も変わらないということを少しだけ忘れて。



「ねえ、私と取引しない?」

「え?」

妙な夢だ。目の前にいる女は浅黒い肌に、とがった耳、爪は鋭く、人の姿をした魔物のようだ。誘いかける声には、男を惑わす、艶かしさが滲んでいた。

「あなたに言っているのよ。私はあなたとひとつになりたいの」

「私とひとつに?どういう・・・」

「復讐がしたいんでしょう?私とひとつになればそれができるわ。男を篭絡し、操ることができれば、国を手に入れることだって不可能じゃない」

「そんな・・・。何を言って・・・」

「無理することないのよ。何もせずに、あなただけおとなしく死んでいって、奴らがのうのうと生きていくことが許せる?あなたをキチガイ扱いした奴らを?」

「・・・」

言葉を濁して考え込む。自分のおかれた状況はいまだによくわからないが、セレナには他に選択肢がなかった。怒りに震える声で小さくつぶやく。

「・・・たい」

「何?聞こえないわ」

「復讐したい!男たちを意のままに操って、村も都もめちゃめちゃにしてやりたい!」

憎しみと狂気にゆがんだ声は、もはや一回の村娘のものとは思えなかった。

「フフ。いいわ。それでいい。私を受け入れなさい。それだけですべて上手くいくわ」

「ああ・・・」

満足げにささやく女(?)の声を聞くと、視界がぼやけていった。







目覚めた娘は、それまでとはまったくの別人になっていた。端正な面立ちに、男の理性を一瞬で奪ってしまうような蠱惑的な肢体。豊かに膨らんだ乳房は人の目を引きつけずにはいないだろう。

「フフ。アハハハハ!最高の気分だわ」

高らかに笑う声もまた艶かしい。

「さて、まずは・・・」


娘が最初に向かったのは服屋だった。もちろん、こんな時間には営業は始まっていない。

「誰だ!?こんな朝早くから!」

不機嫌であることを隠そうともせず、店主の男は声を荒げた。

「あらあらそんなにカッカしないでよ」

「何寝ぼけたこと・・・」

言いかけて言葉を呑む。見たこともない女が、あられもない姿で目の前にいる。落ち着けというのは無理な相談だ。

「誰だ・・・あんた・・・?あんたみたいな美人・・・、この村にいるはず・・・」

「そんなことどうでもいいじゃない」

男のズボンに手を伸ばし、ペニスを取り出す。

「何やって・・・」

「フフ」

口に含むと、丹念に舐め回した。

「ああ・・・、こんな・・・。くっ・・・、ダメだ。うっ・・・」

信じられないような快楽に、あっとういう間に達してしまう。

「あーあ。ずいぶん早いのね。まあ、いいわ」

ごくりと精液を飲み込むと、その舌で放心状態の男の顔をなめまわす。

「私の体液を味わってちょうだい」

すぐさま舌を絡ませる。ピチャピチャといやらしい音を立てながら貪られつつも、男はぼんやりと蕩けている。もはや道理も何もあったものではない。


「挿れたい・・・。はやく・・・。はやく・・・!」

唇を離すやいなや、肉欲を抑えられずに、男が口走る。

「アハハ。いいわよ。来て」


壁に手をつく女に後ろから激しく腰を打ち付ける。

「アッ!アッ!いいわ!もっと!もっと激しく!」

「う・・・うああっ・・・こんなマンコ初めてだ・・・。止まらない・・・。あっ・・・!あああああ!」

またもや間髪いれずに絶頂に迫っていく。

「いいわ、来て!中に!濃いのを、思う存分注ぎ込んでえええ!」

「ああああああっ!!」

二人は同時に達した。



「ん・・・?」

と、すぐに男はめまいに襲われる。

「から・・・だが・・・」

「喜びなさい。お前は私の最初の下僕になるのよ」

勝ち誇ったように女が見下ろしている。

「何を言って・・・?ぐ・・・あああああ!」

数秒の後、男がいたところには一匹の大柄なモンスターがいた。トロルのような外見の割に、表情は落ち着いている。

「さあ、忠誠を誓いなさい。私はソフィア。お前の主よ」

「わが主、ソフィア様。私は永遠にソフィア様の手駒としてお仕えします」

ひざまずき、恭しく服従を誓う。

「いい子ね。それじゃあ・・・」


「あなた?どうしたの?変な声が・・・」

言いかけたところで、邪魔が入った。

「ちょうどいいわ。あの女を犯しなさい」

「はい、ソフィア様。仰せのままに」

好都合だとわかれば、迷う必要は無かった。

「何?モンスター!?え?イヤ!いやあああ!」








かつて自分の夫であった存在に容赦なく陵辱され、倒れこんだ女をソフィアが見下ろす。

「あなたもすぐに仲間になれるわよ。さあ」

女の唇を奪う。

「ん・・・んん・・・」

ピチャピチャと妖艶に舌を絡ませるうちに、女は蕩けていく。

「クスッ。受け取りなさい」

ソフィアの手で局部へと何かが埋め込まれる。

「ん・・・あ・・・あああ・・・」

「生まれ変わりなさい」

ぼうっとしていた女の目がカッと見開かれる。淫魔の苗を植えつけられたのだ。

「あっ!ああああああああああああ!!」


甲高い叫び声を上げた後、女もまた、人ならざるものとなった。外見は人間と変わらないが、その力は何百人もの男を破滅に追いやるのに十分だった。赤く染まった瞳が妖しく光る。

「あはあ・・・」

「自分の役目はわかっているわね?」

「はい、ソフィア様。淫らに生まれ変わったこの体で、村の男たちを堕とし尽くします。はあん・・・」

待ちきれずに股間へと手を伸ばし、身をくねらせる。


「男はモンスターに、女は淫魔に。誰ひとり逃しはしないわ。みんな私に服従するのよ。アハハハハハッ!!」


ソフィアの高笑いが響き渡る。


村のすべてがソフィアの手に落ちるまで、それほど時間はかからなかった。
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